自作の書籍が並ぶ店内で客との交流を楽しみにしている田口さん

自作の書籍が並ぶ店内で客との交流を楽しみにしている田口さん

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自作の品で「面白い店に」 高円寺のレコード店経営者、伊那へ移住

信濃毎日新聞(2020年8月4日)

 東京・高円寺でレコード店を営んだ田口史人さん(52)が、横浜市から伊那市荒井に移住し、二つの空き店舗で自作の書籍やCDなどを販売する店「黒猫」を始めた。伊那市の商店街の雰囲気が気に入り移住。インターネット販売ではなく、店舗での販売にこだわる。移住して初めて作った本や沖縄の民謡を収めたCDなど、自身の好奇心から作った品が並ぶ。「面白いと感じることに共感してもらえばうれしい」との思いで店頭に立つ。

 通り町商店街の呉服店だった店舗には、自作の商品のほか、知人が手掛けた書籍など流通に乗らない品ばかり。100メートルほど離れたそば店だった空き店舗では、レコードや雑貨などを扱う。そば店は2018年に閉店。店名の「クロネコ」を引き継ぐ形で名付けた。

 03年に高円寺でレコード店を始めた田口さんは、書籍約20冊、CD約500点を作った。伊那市にはレコードを買いに以前から訪れていた。通り側の壁を洋館風にした「看板建築」が残る商店街など、「知れば知るほど充実した隠れ家」と感じたことなどから今春に移り住んだ。

 移住して初めて作った本は、友人の息子が森の中などに見られる粘菌について研究している様子を「面白い」と感じ、息子がつけた観察ノートを基にまとめた。田口さんも調査に同行し、感想をつづった。観察ノートの写しや粘菌を題材にしたオリジナル漫画などを入れ、1セット2千円(税抜き)で販売している。

 3カ月に1度の季刊誌も発行。田口さんは「せんべい屋さんみたいに、作ったその場で売る。面白いお店だと思ってくれる人が増えればいい」と話している。営業は午前11時〜午後7時。不定休。問い合わせはメール(b.c.rikurosha@inacatv.ne.jp)で黒猫へ。

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