農家民宿を営む福神淳さん(左)と瞳さん。オープン1周年を迎える

農家民宿を営む福神淳さん(左)と瞳さん。オープン1周年を迎える

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「帰りたくない」農家民宿を 高遠で開業1周年

信濃毎日新聞(2020年8月5日)

 伊那市高遠町藤沢の福神淳さん(61)、瞳さん(63)夫妻が営む「農家民宿ふくがみ」が7日、オープン1周年を迎える。築約100年の古民家を活用した1日1組限定の宿で、水田や畑が広がるのどかな集落に立地。新型コロナウイルス感染拡大の影響で2月から休業していたが、今月中旬に半年ぶりに受け入れを再開する。夫妻は「日常から離れてのんびり過ごしてもらいたい」と気持ちを新たに準備している。

 淳さんは東京都、瞳さんは佐賀県出身。ともに東京で公務員をしていた。瞳さんの親戚が塩尻市に住んでいたこともあり、「退職したら自然豊かな長野の古民家に住む」ことが2人の夢だった。十数年前から週末に県内の古民家を計30軒近く見て回り、「人の温かさと、山に囲まれた景観が気に入って」(淳さん)、現在の物件に決めた。

 建物は木造一部2階建てで、延べ約246平方メートル。1階にはいろり、まきストーブを備え、8畳や10畳の寝室など4部屋がある。「自分たちだけで住むのはもったいない」と民宿の開業を決意。伊那市観光協会を通じ、東京都新宿区の小学生や中国の中学生など、これまでに9組36人を受け入れた。

 宿泊した子どもたちには、近所の田での稲刈り、草木染の体験、星空観察など田舎ならではの魅力を提供。瞳さんは「最初は緊張していた子も、最後には『帰りたくない』と言ってくれてうれしかった」。ジャガイモやネギ、トウモロコシなど20種類近くの野菜を栽培しており、今後は収穫も体験してもらう。

 新型コロナで休業や予約キャンセルに見舞われたが、「地域の人に支えてもらい、やってこられた。いろいろな人と触れ合う機会があって楽しい」と淳さん。「コロナが収束したら外国人にも来てもらい、古き良き日本の文化を体験してほしい」と願う。

 1泊2食付きで1万円(税抜き)から。体験内容は要相談。問い合わせは淳さん(電話090・2318・6370)へ。

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