継体天皇を祭る福井県福井市足羽1丁目の足羽神社が、表裏の表紙に越前塗を施した御朱印帳を作った。越前漆器の発祥は継体天皇が奨励したことがきっかけといわれており、同神社は「継体天皇と越前漆器のつながりを知ってもらえれば」と話している。
伝承などによると、越前漆器の起源は約1500年前にさかのぼる。継体天皇が皇子のころ、鯖江市河和田地区を訪れた際、冠を落として壊してしまった。地元の漆塗り職人が修理して、おわんとともに献上したところ、皇子はその出来栄えに感動し、漆器作りを推奨したとされる。
今年は、同天皇の記述がある日本最古の正史「日本書紀」の完成から1300年の節目に当たる。同天皇と越前漆器の縁を知ってもらおうと同神社の馬來田善敬宮司(54)が漆器製造販売の越前漆器(鯖江市)の森下直樹社長(70)に依頼した。森下社長は越前塗を御朱印帳に施すのは初めてで、馬來田宮司と複数回の協議を重ねて6月上旬に完成した。
御朱印帳は縦18センチ、横13センチで、合成樹脂製の表紙を黒塗りし金色の蒔絵(まきえ)を施した。表面は足羽山にある継体天皇像の原画を、裏面は同神社の社紋をあしらった。台紙には特注の越前和紙を用いた。
馬來田宮司は「御朱印帳が地元の伝統産業の歴史を知るきっかけになればうれしい。ぜひ手にとってもらえれば」と話している。
初穂料は3千円。問い合わせは同神社=電話0776(36)0287。