8月31日で閉館する資料館「人道の港敦賀ムゼウム」の現施設=福井県敦賀市金ケ崎町

8月31日で閉館する資料館「人道の港敦賀ムゼウム」の現施設=福井県敦賀市金ケ崎町

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「人道の港」発信、新旧交代へ 敦賀ムゼウム8月末閉館

福井新聞(2020年8月29日)

 大正から昭和初期にかけてポーランド孤児やユダヤ人難民が敦賀港に上陸した史実を伝える資料館「人道の港敦賀ムゼウム」(福井県敦賀市金ケ崎町)が31日閉館し、付近で整備された新ムゼウム(11月3日開館予定)に役割を引き継ぐ。

 現ムゼウムは、敦賀港発展の礎を築いた実業家大和田荘七の元別荘を模した金ケ崎緑地休憩所を改装し、2008年3月に開館した。

 ロシア革命などの混乱でシベリアに取り残されたポーランド孤児や、ナチス・ドイツの迫害から逃れたユダヤ人難民が上陸した経緯と当時の様子をパネルや映像で紹介している。難民を目撃した市民の証言や難民が敦賀に残した時計といった貴重な資料のほか、「命のビザ」を発行した杉原千畝らのコーナーもある。

 市人道の港発信室によると今年3月末までの12年間で33万3336人が来館。孤児や難民の希望の地となった敦賀の歴史と平和の大切さや命の尊さを伝えた。

 新ムゼウムは、現ムゼウムの北西約150メートルに約12億円かけて整備した。▽旅客の入出国を管理した「税関旅具検査所」▽欧亜国際連絡列車が運行した「敦賀港駅舎」▽商船代理店の「大和田回漕(かいそう)部」▽ウラジオストク間の定期航路を運航した「ロシア義勇艦隊」事務所―の敦賀港に実際にあった象徴的な洋館4棟を模した外観になっている。

 延べ約1215平方メートルは現ムゼウムの約4倍で、既に内外装の工事を終えている。現在は展示レイアウトの確認やパンフレット、ホームページの作成などを進めている。現ムゼウムの閉館後、資料を順次移し、大詰めの開館準備に入る。

 新ムゼウムでは、ポーランド孤児を中心に新たに市に寄贈された資料などで展示内容を充実させ、展示品以外の資料もタッチパネルで見ることができる。シアターや研修室も設ける。10月をめどに市民向け内覧会を予定している。

 市は年間7万人以上の来館者を目指しており、渕上隆信市長は「現ムゼウムを通じて、国内だけでなく海外でも敦賀の注目度が上がった。新ムゼウムによる平和教育や観光誘客で市民の誇りになるような施設にしたい」と話している。

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