福井県あわら市の造形作家つたにひろこさん(72)の個展「信生の杜((しんしょうのもり)」が、同市の金津創作の森美術館で開かれている。和紙と墨の純朴な雰囲気を生かした立体作品群が独特の世界観を表現している。9月13日まで。
知人の書家や幼友達が和紙に描いた文様や書を大胆に破り、紙管や浜辺に流れ着いた発泡スチロールに貼り付けて独創的な作品に仕上げている。
会場は"精霊の森"といった雰囲気。木の精にも見える小さな人のような作品は、天井からつるされ、空調の影響で静かに揺れ動くさまは幻想的だ。
紙管や発泡スチロールの質感に、和紙の風合いと墨の落ち着きが不思議なハーモニーを生みだし、つたにさん自身も「えたいの知れない雰囲気」と表現する。
墨で描いたデザインには、新型コロナウイルスをイメージした文様もあり、かつての日常を願う気持ちが込められている。個展のタイトル「信生」は造語。「未来を信じて、今を生きる」という思いが込められている。