中世に栄えた白山平泉寺(福井県勝山市)内にあった神社「鎮守宮(ちんじゅのみや)」の出土品が、同市の白山平泉寺歴史探遊館まほろばで展示されている。1992年度の調査で見つかったこま犬の一部など12点が並ぶ。神道と仏教が結び付いた「神仏習合」の信仰の地であったものの「神道関係の中世の遺物は、ほとんど見つかっていない」と同館。希少な品々が、訪れた人を歴史ロマンにいざなっている。9月27日まで。
同館によると、鎮守宮は白山平泉寺に48あった神社の一つ。中世には現在の「まほろば」の北西部に位置し、神社ができる前には僧の住居があったとの伝承が残っている。
市教委が92年度に鎮守宮跡を発掘したところ、16世紀のこま犬の一部や、安産祈願で神社に奉納する風習に使われた「玉石」とみられる丸い石製品が出土。さらに時代が古い祭壇に花を供えるための仏具や、大型の鉢、水差しの一部など僧侶の生活用品とみられる遺物も見つかり、伝承を裏付けた。
それらの出土品を今回は一堂に展示。こま犬は笏谷石製で、縦17センチ、幅10センチの前足と台座の一部のみしか残っていないが、学芸員は「高さは15センチ程度の大きさだったと推測される」と説明。「玉石」は六つあり、直径は最大10センチある。
僧侶の生活用品では「鉢が特に希少」と学芸員。元(当時の中国)から渡来したとみられ「国内でも発見例は少ししかない」と話す。
この展示に合わせ同館では、48あった神社の一部のいわれなどを紹介するパネルも並べている。学芸員は「こま犬など発掘されてからの30年近くほとんど公開されていないものばかり。パネルなどと合わせて見てもらえると、白山平泉寺への理解が深まると思う」としている。