能登町小木港を拠点とする中型イカ釣り船3隻が28年ぶりとなる北太平洋でのアカイカ漁を終えた。18日は2隻が同港と青森県八戸港に戻り、計200トンの水揚げを記録した。新型コロナウイルスの影響で価格は前年同期より3割安いものの、県漁協小木支所は「満足のいく水揚げ量で、一定の成果を挙げた」とし、従来のスルメイカ漁との「二刀流」継続に前向きな姿勢を見せている。
この日、第18旺貴(おうき)丸が小木港、第31永宝丸が八戸港で水揚げした。両船の水揚げ作業は今季2度目で、小木での水揚げは初めて。集荷場では部位ごとに冷凍されたアカイカがベルトコンベヤーで陸揚げされた。残り1隻は22日にも水揚げし、今後は日本海でスルメイカ漁に当たる。
旺貴丸船主で旺貴水産(能登町)の灰谷(はいや)克己社長(72)は「値段は安かったが、量はとれた。来年以降につなげたい」と語った。アカイカは加工用としての取引がほとんどで、小木支所の担当者は新たな販路開拓にも意欲を見せている。
能登半島沖の好漁場「大和(やまと)堆(たい)」周辺のスルメイカ不振を受け、今季は小木から28年ぶりに北太平洋でのアカイカ漁進出を決断。専用の漁具購入など設備投資を行い、県漁協所属の11隻中、4隻が5月に出漁した。魚価低迷などから7月にいったん漁を切り上げ、日本海でのスルメイカ漁に切り替えたものの漁獲が上がらず、うち3隻が再び北太平洋でのアカイカ漁に向かっていた。
残り8隻は現在、大和堆付近で操業している。スルメイカ漁の漁期は来年1月までとなる。