新型コロナウイルスの影響が続いていた福井県内の観光地は9月19~22日の4連休に大勢の人が訪れ、坂井市の東尋坊や福井市の一乗谷朝倉氏遺跡では1日当たりの来客者数が今年最多となった。新型コロナの県内第1波(3月18日~4月28日)以来、久々のにぎわいが戻った。一方、各施設の担当者は感染防止へ警戒を続けている。
東尋坊は行列ができる店があったり周辺道路が渋滞したりと、9月20、21の2日間は特に多くの人出があった。東尋坊観光協会の小南正一会長は「今年一番のにぎわい。すごかった」と声を弾ませる。一乗谷朝倉氏遺跡復原町並でも4日間で約9200人と、政府の観光支援事業「Go To トラベル」開始直後だった7月23~26日の4連休の約4700人からほぼ倍増。特に9月21日の3172人は、1日当たりの来場者の過去最多を更新した。
遺跡はNHK人気番組「ブラタモリ」で紹介した回が6月に再放送されたこともあり、「テレビ番組を見て、来たくてもコロナが落ち着くまで我慢していた人が一気に来たのだろう」と同遺跡保存協会の岸田清会長。今後はNHK大河ドラマの恩恵もあるとみられ「コロナがこのまま落ち着いてくれれば期待が持てる」と手応えを感じている。
三方五湖有料道路レインボーラインの入り込み数は4日間で約2万4千人。7月の1カ月間の約2万8千人に迫る勢いだった。
坂井市の越前松島水族館は4日間で約1万300人が来場した。3密を避けるため入場制限をかけているにもかかわらず、20、21の両日は約3300人、約3400人が訪れた。鈴木隆史館長は「制限がなければ4千人を超える人出だった。夏休みに自粛して窮屈な思いをしていた人たちが来てくれたのではないか」と分析する。
また、永平寺町の大本山永平寺は秋のお彼岸も重なった4日間で1万314人が参拝した。
中日本高速道路によると、4連休の県内高速道路の1日平均交通量は北陸自動車道の福井―鯖江インターチェンジ(IC)が前年同時期の連休に比べ22%増の約4万900台。舞鶴若狭自動車道の若狭美浜―若狭三方ICは同67%増の約1万3500台だった。
ある観光地の責任者は大勢の来客を喜びつつ「後日、感染者が出ないか心配。対策はしっかり続けていかなければ」と気を引き締めていた。