来館者に喜多家住宅を案内する管理人の矢木さん(左)=野々市市本町3丁目

来館者に喜多家住宅を案内する管理人の矢木さん(左)=野々市市本町3丁目

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野々市の国重文 喜多家に常駐ガイド

北國新聞(2020年10月2日)

 野々市市で唯一の国重要文化財「喜多家住宅」(本町3丁目)の常時公開が1日、始まった。市が所有者から建物と土地を譲り受けたのに合わせ、町家をガイドする管理人を常駐させた。看板やパンフレットを新調し、来館者に贈る記念品のノートも作った。加賀地域で現存する中では最も古いとされる町家の保存を安定的に行うとともに、魅力を高めることで市民や観光客の受け入れを強化する。
 喜多家は旧北国街道沿いに建つ江戸後期の町家で、1971(昭和46)年、国重文に指定された。川崎市に住む所有者の喜多敬次さん(70)が両市を行き来しながら建物を管理、公開していたが、喜多さんの都合で休館することがあり、観光客が無駄足を踏むことがあった。
 常時公開に合わせ、市が雇用した市民6人が管理人として交代で常駐する。全員がボランティアガイド「ののいち里まち倶楽部(くらぶ)」のメンバーで、来館者の求めに応じ、母屋の特徴や優美な庭、明治時代から75(昭和50)年ごろまで酒造業を営んでいたことなどを伝える。当面の間は喜多さんがサポートする。
 刷新したパンフレットには母屋に続き、旧酒造施設4棟についても昨年末に国重文に追加指定されたことや、酒造りや設備に関する説明文、見取り図を盛り込んだ。
 記念品のノートはA5判で、表紙に母屋の趣ある囲炉裏(いろり)の写真を載せた。表紙の裏には過去に造られていた日本酒「猩々(しょうじょう)」のラベルを紹介した。
 初日に管理人として応対した矢木道子さん(69)は「喜多家だけでなく、野々市の良さを多くの市民にアピールしたい」と意気込んだ。喜多さんは「市の協力でスムーズに市営に移行できた」と感謝を示した。
 市は来年度末までに施設の保存や改修、活用の計画を策定する方針を掲げ、酒造場エリアの公開も将来的に視野に入れている。観覧料は一般400円。不定休だった休館日は月曜(祝日の場合は翌日)に決めた。

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