気迫のこもった演技を披露する子供役者=小松市の県こまつ芸術劇場うらら

気迫のこもった演技を披露する子供役者=小松市の県こまつ芸術劇場うらら

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子供役者堂々演じる 小松・八町歌舞伎、待望の振替公演

北國新聞(2020年10月5日)

 5月のお旅まつりで曳(ひき)山(やま)子供歌舞伎を上演できなかった小松市の「八町こども歌舞伎」の子供役者5人が4日、同市の県こまつ芸術劇場うららで振替公演に臨んだ。コロナ禍で稽古は3月末で一時中断され、まつりでの披露も見送らざるを得なかった。待望の舞台に向け、練習を重ねてきた5人は情感あふれる熱演を繰り広げ、3回の公演に集まった計約550人から盛大な拍手が送られた。
 八町こども歌舞伎は今年の当番町である材木町のほか、曳山を持つ8町ゆかりの児童で構成し、父を殺された兄弟のあだ討ちを描いた「曽我十二時(そがじゅうにとき) 揚巻助(あげまきすけ)六(ろく)の場」を上演した。計3回のうち、初回は1人が体調を崩したため4人で演じたが、2回目からは5人全員そろって舞台に立った。
 化粧を施し、華やかな衣装に身を包んだ子供役者が曳山を模した舞台に登場すると、観客に代わってスタッフが「いよっ」「待ってました」と掛け声を響かせた。
 子供役者は観衆にあいさつする「口上」に始まり、息を合わせて難しいせりふの言い回しや所作をよどみなくこなし、気迫のこもった掛け合いを演じた。演目の中には子どもらしいユーモアのあるせりふも織り込まれ、観客の笑いを誘った。
 助六・曽我五郎時宗(ときむね)役の松岡閑奈(かんな)さん(芦城小5年)は「観客が多くて緊張したが、しっかり声を出して大きな演技ができたと思う」と振り返った。揚巻・曽我十郎祐成(すけなり)役の廣瀬虹(こ)来(こ)さん(今江小6年)は「かつらが重くて頭が痛くなったが、楽しく演じられた。子供歌舞伎の伝統がずっと続いてほしい」と話した。
 こまつ曳山交流館みよっさの葛西聖司名誉館長が司会を務めた。感染防止のため舞台上には観客の前にアクリル板が設置された。締めくくりの公演と、子供役者が花道を歩くお練りの模様は動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信された。
 2回目の公演に先立ち、森光子芸能文化振興財団(東京)の「第3回森光子の奨励賞」贈呈式が行われた。同賞に輝いた小松曳山八町連絡協議会の福島利雄会長に、財団の野間脩平代表理事が盾を手渡した。
 同賞は伝統芸能の保存継承に努める団体に贈られ、協議会は250年以上続く曳山子供歌舞伎の歴史を受け継ぎ、若い世代に地元の文化を伝えていることが評価された。福島会長は「感無量で夢心地。今後も精進して活動を続けていくと誓う」と謝辞を述べた。

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