下味を付けた信州サーモンを切り分け、カルパッチョを作る檀野さん=京都市中京区

下味を付けた信州サーモンを切り分け、カルパッチョを作る檀野さん=京都市中京区

長野県 伊那路 グルメ

伊那谷×京都、食でつなぐ 信大農学部で学んだ檀野さん

信濃毎日新聞(2020年10月6日)

 京都市の世界遺産・二条城の程近く。伊那谷を中心に長野県の食材を生かした多彩な料理を出す店「室町二條みのや」がある。腕を振るうのは京都出身で信州大農学部・同大学院(南箕輪村)、食品会社勤務を経て料理人となった檀野有良(だんのくになが)さん(41)。2008年から伊那市で営業してきたそば店を従業員に任せ、両親が暮らす故郷で3年前に新たな店を構えるのに当たり、信州で出合ったおいしい食材を知ってもらおうと考えた。新型コロナウイルスの影響で厳しい経営が続くが、伊那谷と京都を食でつなごうと奮闘している。

 築100年以上の京町屋を改装した店では、主に上伊那地域の契約農家から直送された旬の野菜に温かい自家製みそを付けて食べるバーニャカウダ、鹿肉のステーキやメンチカツ、中央アルプスの天然水を使って手打ちしたそばなどを提供。伊那谷の伝統食材を洋風にアレンジした「おたぐりのトマト煮込み」や蜂の子のガレットもある。ビールや日本酒、ウイスキーも伊那谷産が中心だ。

 檀野さんは信大で、木曽地域の伝統的漬物「すんき」を題材に乳酸菌について研究。乳製品メーカーの北海道工場で品質管理などを4年間担当した後、「客の顔が見える商売をしたい」と退職した。大学時代にアルバイトをした伊那市の自動車販売店に居候しながら次の仕事を考えた。

 隣の飲食店が閉店することになり、料理経験がなかったにもかかわらず、そこを借りて飲食店を開くことを決意。中央道伊那インターに近い立地からそば店にすることにし、そば打ちなどの技を約5カ月独学して開店した。店名の「みのやさくら亭」は、母の実家が営んでいた呉服屋「みのや」にちなむ。

 「食べ物は命の源。安心して食べてもらえる料理を出したい」。好奇心旺盛で興味を持ったことは徹底的に調べる性格。開店後に知り合ったフレンチ、イタリアンの料理人からも技術を学び、料理の幅を広げてきた。月に1、2度は信州を訪ね、伊那の店のほか、食材の生産者を回って対話を重ねる。

 コロナ禍で受け入れる客数を減らしたり、おやきやソースかつ丼をテークアウト販売したりするなど苦心の営業が続くが、「伊那谷の人々と常連客や従業員、家族に支えられている」と感謝する。8、9月には、コロナの影響で売れ行きが鈍っていた伊那市と箕輪町産の夏秋イチゴ「すずあかね」を仕入れ、パフェやカクテルにして京都市中心部にある複合商業施設などで販売する催しを3回開いた。「今は辛抱の時期だが、取り組みに共感してくれる人はきっといるはず。京都の食材を信州に伝える活動もしていきたい」と前を向いた。

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