福井県勝山市の酒蔵「一本義久保本店」で10月9日、新酒の仕込みが始まった。今年は仕込みの第1弾に使う酒米に、奥越産の「越の雫(しずく)」を初めて採用。蔵人(くらびと)たちは、大型タンクの中を櫂(かい)棒でかき混ぜる作業に精を出した。
同社によると、「越の雫」はJA主体で開発し、2003年に品種登録された。これまで6銘柄の酒に使っているものの、今回初仕込みに用いたことに「今後越の雫をメインにした酒造りをしていきたいとの思いがある」と同社。「繊細で扱うのが難しい面はあるが、ジューシーで優しい味わいになると期待している」という。
麹(こうじ)や水が入った大型タンクに蒸した「越の雫」が次々と投入され、蔵人たちはタンク内の温度上昇などに気を配りながら、長さ約3メートルの櫂棒を上下にゆっくりと動かし続けていた。
初搾りは27日に予定。今後は一般的な酒米の「五百万石」なども用いながら仕込みを続ける。例年は1・8リットル瓶換算で約50万本を仕込んでいるが、今シーズンは新型コロナウイルスの影響で飲食店の需要が減っていることを踏まえ対応していく。