千本格子を備えた町屋が残る通り=高岡市吉久

千本格子を備えた町屋が残る通り=高岡市吉久

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高岡「吉久」 国の保存地区に 旧街道沿いに千本格子の家屋

北日本新聞(2020年10月17日)

 文化審議会(佐藤信会長)は16日、高岡市吉久を国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)に選定するよう、萩生田光一文部科学相に答申した。12月にも答申通り告示される。県内での選定は、高岡鋳物発祥の地で知られる同市金屋町が2012年に選ばれて以来、8年ぶり5地区目。高岡市では山町筋、金屋町に続き3地区目で、一つの自治体としては全国で4番目の多さとなる。

 選定されたのは、現在の吉久2丁目と3丁目の一部で、東西約430メートル、南北約330メートルの4・1ヘクタール。保存地区の中心を走る旧街道「放生津往来」沿いに、「さまのこ」と呼ばれる千本格子を備えた伝統的な家屋が残る。

 他の地区の町家に比べ、格子の桟は細く間隔も狭いのが特徴。白いしっくいの2階外壁には窓を設けず、稲わらを収納する物置を配した家が多い。

 地域独特の町家建築が良好に保存され、城下町の郊外に発生した「在郷(ざいごう)町」の趣を伝えることが高く評価された。往時の面影を色濃く残す「能松家」「有藤(ありとう)家」「丸谷(まるや)家」は国登録有形文化財。

 吉久は小矢部川と庄川に挟まれた河口部に位置し、水運の便が良く、江戸期に加賀藩の年貢米を保管する倉庫「御蔵(おくら)」が置かれた。砺波、射水両平野で収穫された米を、伏木から北前船で大坂や江戸へ運ぶ備蓄・流通拠点として発展。最大で年間1万石を扱い、江戸後期には6棟が置かれ加賀藩最大規模となった。明治期の地租改正で御蔵は廃止されたが、有力町民は米穀商や倉庫業で財をなした。

 高岡市は8月、文化庁に重伝建地区への選定を申請した。市内に三つ以上の重伝建地区があるのは、4地区の京都、金沢、萩(山口)の3市で、3地区は高岡のみとなる。

 県内では1994年に合掌造り集落がある南砺市相倉と菅沼も選ばれている。

 ■重要伝統的建造物群保存地区■
 全国各地に残る歴史的な集落、町並みを保存するため、1975年の文化財保護法改正によって制度化された。市町村の申し出を受け、文化庁が選定する。外観の修景や防災設備を設置する際には、補助や税制の優遇措置を受けられる。現在100市町村で120地区が選ばれている。

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