松本市安曇地区の沢渡の活性化を目指す「さわんどつなぐプロジェクト」が、地元の温泉を調理に活用した「さわん丼」を新たな名物にしようと売り出している。松本市と岐阜県高山市をつなぐ県境に位置する沢渡を、信州牛や飛騨牛といった地域の食材を詰め込んだ丼でPR。11月末まで観光案内所「グレンパークさわんど」の食堂で1日10食限定で販売して意見を募り、今後の地元旅館・飲食店での販売拡大につなげていく。
「さわんど温泉観光組合」が昨年に同プロジェクトを始動し、信州と飛騨の食材を使った名物メニューを作ろうと企画した。地元の温泉は湯量が豊富な上、源泉が65度と熱いため、牛肉を湯煎する低温調理に活用。試作を重ねて、今年9月中旬から販売にこぎつけた。
さわん丼は1食1650円。低温調理したローストビーフを中央に置き、安曇野市産の豚肉や野菜も盛り付け、見た目の華やかさにもこだわった。信州味噌(みそ)と青唐辛子をあえた「こしょう味噌」、刻んだ野菜をしょうゆとみりんで味付けした安曇地区伝統の薬味「きざみ」も添えた。プロジェクトリーダーで観光組合副組合長の横山大祐さん(44)は「一口ごとに味を変えて食べられる」とPRする。
同地域は上高地へ向かうバス、タクシーとマイカーとの乗り換え拠点で約2千台分の駐車場がある一方で、滞在してもらうための観光名物の少なさが課題。横山さんは「さわん丼をうまく発信できれば地域の起爆剤になる。伊那、駒ケ根市のソースカツ丼のように、地域全体で売り出せるメニューにしていきたい」と期待している。