城下町金沢の冬の風物詩である薦掛けの作業=2019年11月30日、長町武家屋敷跡

城下町金沢の冬の風物詩である薦掛けの作業=2019年11月30日、長町武家屋敷跡

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薦掛け、初の体験講座 金沢市が12月開講、小学生向け

北國新聞(2020年10月20日)

 金沢市は12月、土塀を雪から守る「薦(こも)掛け」を子どもたちに広く知ってもらおうと、小学生を対象にした製作体験講座を初めて開く。金沢の冬の風物詩として親しまれている一方、近年は担い手となる職人の減少などで数が少なくなり、薦掛けを知らない世代が増えている。藩政期から続く城下町の風習を次代に継承するため、作業の様子を撮影した動画の配信も計画している。
 薦はわらを編んで作られ、土塀の腕木につるすことで土塀に染み込んだ水分が凍結して傷んだり、雪解け時に土がはがれたりするのを防ぐ役割がある。県造園業協同組合の組合員らが毎年12月ごろ、市の委託を受けて長町武家屋敷跡周辺の土塀に約500枚を掛け、冬支度を整えている。
 近年は高齢化の進行で担い手不足が顕著になっており、2000年に120人だった組合員は現在約半数の65人に減少。講座を通じて土塀を冷害から守る先人の知恵と技術を後世に伝える狙いがある。
 講座は12月5日に長町武家屋敷跡で薦掛け作業が始まるのに合わせ、公民館などで児童が薦を用いた小物作りを体験する。参加者は県造園業協同組合の組合員らから、薦掛けの歴史に関する説明も受ける。
 動画は薦掛けの作業や設置後の風景を撮影し、来年3月までに動画投稿サイト「ユーチューブ」の市公式チャンネルで公開を予定する。
 市は製作した動画を南町の金沢中央観光案内所で放映することも検討しており、担当者は「体験講座や動画を通じて、薦掛けの希少性や魅力を多くの人に知ってほしい」と話した。

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