全面改築して「長野県立美術館」に改称する県信濃美術館(長野市)は23日、開館は来年4月10日と正式発表した。完成記念展として、東西の仏教美術の至宝を東京芸術大(東京)が高精度な複製技術で再現、復元した「スーパークローン文化財展」を開く。
仏教を中心とした文化の伝来に焦点を当て、文化財の保護と保存、展示と公開の在り方を考える内容。タリバン政権が破壊したアフガニスタンのバーミヤン東大仏天井壁画や、一般公開が制限されている中国の世界遺産・敦煌莫高窟(とんこうばっこうくつ)、法隆寺(奈良県)の国宝釈迦(しゃか)三尊像などの再現、復元作品を紹介する。
田中正史学芸課長によると、美術館の新築、改築後の文化財展示はコンクリート施工からふた夏を越すことが望ましいとされ、同館では来年8月下旬。実作品を展示できない時期を「美術館の役割の原点である文化財保存について考える機会にしたい」とする。
6〜8月は本館を設計した建築家宮崎浩さん、制服をデザインした県内出身のファッションデザイナー黒河内真衣子さんの展覧会なども企画。8月下旬からは絵画や彫刻、写真、インスタレーションからなる開館記念展「森と水と生きる」で西洋や日本の美術作品を紹介する予定だ。
館内のレストランとカフェは道の駅ランキング東日本1位にも輝いた「川場田園プラザ」(群馬県)を手掛ける田園プラザ川場が運営し、県産食材を使った料理を出す。ミュージアムショップは、金沢21世紀美術館(石川県)などと同じマイブックサービス(東京)が運営する。