加賀藩3代藩主前田利常が小松天満宮(小松市)に奉納したとされる薙刀(なぎなた)について、同天満宮は27日、刀の表面のさびを落とし、刃文を確認したと発表した。刀は室町時代から続く加賀の刀工集団の名工、初代藤原家忠の作で、家忠の最晩年の作風を知る貴重な史料とみている。
薙刀は天満宮が2018年、利常が5代藩主綱紀の武運長久を願って奉納したとみられると確認した。刃の長さは45・2センチ、刀身の柄に覆われる部分「茎(なかご)」は長さ39・2センチで、1654(承応3)年に作られた。
刃文は「帽子」と呼ばれる刃文の先端がとがり、全体的にゆったりとした気品の漂う模様となっていた。家忠の作品は現存数が少なく、今回確認された刃文は家忠の技量や作風を知る上で貴重という。
会見に同席した県立歴史博物館の北春千代学芸主幹は「晩年に入り、さまざまな作風に挑戦した家忠の完成品ともいえる逸品だ」と話した。
天満宮は今年6月、刀の研磨を鳥取県米子市の研師に依頼し、9月に作業を終えた。薙刀は来年10月に公開する予定となっている。