火鉢やちょうちん、朱塗り重箱などの民具が並ぶ土蔵ギャラリー=10月25日、福井県敦賀市相生町

火鉢やちょうちん、朱塗り重箱などの民具が並ぶ土蔵ギャラリー=10月25日、福井県敦賀市相生町

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明治期の土蔵丸ごと特別公開 敦賀市立博物館

福井新聞(2020年10月29日)

 福井県敦賀市立博物館は10月31日と11月1日、明治初期ごろに建設された土蔵をギャラリーとして特別公開する。同館が所蔵する船だんすや火鉢、伝統行事の道具などを展示。土蔵自体が組み木により延長した柱を使うなど興味深い造りで、展示品を含め丸ごと楽しめる内容となっている。

 土蔵は、旧敦賀銀行の頭取で第7代敦賀町長の喜多村謙吉氏を輩出した喜多村家の敷地にあった。白壁塗り2階建てで幅6メートル、奥行き5メートル、高さ6・5メートル。壁の厚さは450ミリと通常の1・5倍あり、貴重なものを納めるために建てられたと推測される。

 1997年のつるが山車会館建設時に3棟のうち2棟を取り壊し、残る1棟を博物館収蔵庫として活用。2011年の新収蔵庫建設に伴い、山車会館東側に曳家作業して移設した。18年の台風で瓦屋根が損傷したが、今年8月に修繕を終えていた。

 展示品は約70点。江戸時代の長火鉢や商人が使った錠前付きの銭箱、江戸初期に流行した宝くじ「富籤(とみくじ)」用の箱、大正時代のひな人形、朱塗り重箱、黒漆菓子皿などさまざま。一枚一枚に狂言を演じる様子が描かれた朱塗りの引盃(さかずき)や、保存状態の良いちょうちんなども並ぶ。

 10年以上前に途絶えてしまった県無形民俗文化財の雨乞い神事「太鼓踊り」で使われた、太鼓や紅白の短冊で飾った竹もある。博物館の高早恵美館長補佐は「歴史ある土蔵の雰囲気を感じてもらえたら」と話している。

 特別公開は両日とも午前10時~午後4時まで。

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