上田市別所温泉で2017年から休業が続く老舗旅館「柏屋別荘」の建物の活用を探る動きが進んでいる。新たな所有者が、上田地域への移住者や若者らでつくる「地域活性化・若者ラボ設立準備会」と協力し、川端康成をはじめ多くの文化人に愛された歴史ある建物を再び生かす方法を考えている。
若者ラボが8日に開いた講座で、土地と建物を取得した都内の不動産事業会社の役員信田(しだ)直昭さん(62)が講演した。信田さんは、休業が続き老朽化が進んだ建物の再利用の可能性に言及。旅館や入浴施設でなく、外観や建物内の空間を生かして「事務所、教育施設、集会施設を視野に入れたい」とした。
柏屋別荘の建物は100年近く前に建てられた木造4階建て。信田さんは前のオーナーの親戚で、建物の雰囲気に魅力を感じたという。若者ラボに携わる長野大環境ツーリズム学部の熊谷圭介教授と知り合いで、今回の連携につながった。取材に「若い人たちの力を借りて再生につなげる。老舗の雰囲気を生かしながら、地域の共有空間として生かしたい」と話した。
講演は10人ほどが聴いた。若者ラボは柏屋別荘の再生や地域の活性化を狙い、今後も講座を開く。次回は15日午後1時から、同市塩田平を中心とした一帯が日本遺産に認定されたことを受け、地域ブランドを考える。会場は同市別所温泉の日帰り温泉施設「あいそめの湯」。入場無料。問い合わせはメール(info.wakamonolab@gmail.com)で。