「原爆の図 第3部 水」に見入る来場者

「原爆の図 第3部 水」に見入る来場者

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墨の前衛表現を堪能 富山県水墨美術館で丸木位里展

北日本新聞(2020年11月14日)

 「原爆の図」で知られる丸木位里(まるきいり)(1901~95年)の企画展「墨は流すもの 丸木位里の宇宙」が13日、富山県水墨美術館で始まった。これまでで最大規模の回顧展で、初期から晩年までの画業の全貌に迫る。墨を用いた前衛的な表現に、大勢の美術ファンが見入った。12月27日まで。

 丸木位里は広島出身。妻で洋画家の俊(とし)と連作絵画「原爆の図」を共同制作し、被爆の惨状を伝えた。

 没後25年に合わせた今回の回顧展は、「原爆の図」だけでは捉えることのできない画業の全体像に迫ろうと企画。会期を前期と後期に分け、大幅に作品を入れ替えながら代表作を含む90点を紹介する。

 前期展では、初期に日本画の古典技法を学んだことがうかがえる「桜美人図」や、モチーフを大胆に切り取った「ラクダ」、戦時中に旧八尾町を訪れた際に残した色紙などが並ぶ。「馬(部分)」は、絵の具を垂らして描くという前衛的な手法を戦前から取り入れていたことが分かる。「原爆の図」は全15部のうち、四曲一双びょうぶの中央に母子像を配した「第3部 水」を展示した。

 開会式もあり、原爆の図丸木美術館の岡村幸宣(ゆきのり)学芸員・専務理事が「宇宙のように果てしなく広がり、奥行きのある絵画世界を再発見してほしい」とあいさつした。岡村さんと県水墨美術館の若松基(もとい)副館長による作品解説もあった。同館と富山テレビ放送、丸木位里展実行委員会、北日本新聞社主催。

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