信濃町の一茶記念館に展示中の一茶館から借りた一茶直筆の俳額

信濃町の一茶記念館に展示中の一茶館から借りた一茶直筆の俳額

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「旅する」一茶の所蔵資料 信濃町と高山村の施設、交換して展示

信濃毎日新聞(2020年11月17日)

 信濃町の「一茶記念館」と高山村の「一茶ゆかりの里 一茶館」の両館が、柏原(現信濃町)出身の江戸時代の俳人小林一茶(1763~1827年)に関する所蔵資料を交換し、それぞれ展示する企画展を開いている。北信一帯で活躍した晩年の一茶の活動を幅広い視点から理解できるようにする狙い。今後、本格的な連携を模索し、施設の入館者数増加にもつなげたいという。

 信濃町の一茶記念館は2001年、地元有志らの財団法人俳諧寺一茶保存会から町に移管され、03年に改築された。町内には国史跡「小林一茶旧宅」など一茶ゆかりの史跡も多くある。一方、高山村の一茶館は1996年オープン。近隣の門人たちが残した一茶の日記や手紙などを所蔵する。これまで両館はそれぞれが所蔵する資料を中心に、展示やイベントを行ってきた。

 一茶記念館の渡辺洋学芸員(42)によると、一茶は自身の活動拠点を持たず、招きがあれば出向いて俳句を教えるスタイルを取ってきた。1800年代以降、江戸からたびたび故郷の柏原に戻り、現在の長野市長沼、山ノ内町湯田中、小布施町などで地元の門人と交わり、俳句を指導したという。このため「広域的に情報を把握、共有しないと(一茶の)全体像が見えにくい」と考え、一茶館に今回の企画展を呼び掛けた。

 今回の企画展で、信濃町の一茶記念館は、一茶の有力な門人で高山村の地主だった久保田家に伝わる一茶の作品「父の終焉(しゅうえん)日記」など約30点を一茶館から借りた。一茶が同村の門人と一緒に作った俳句などの額も展示。一茶と高山村の深いつながりを紹介している。

 高山村の一茶館は、晩年の一茶が暮らした柏原の宿場の絵図や、一茶が師事した俳人の作品など16点を一茶記念館から借り受けた。一茶館の篠原しずか学芸員(30)は「普段とは異なる資料と一緒に並べることで、(所蔵資料を)新鮮な視点で鑑賞できる」と話す。

 企画展は両館とも29日まで。ともに入館者数は減少傾向といい、協力してPRすることで一茶への関心を高めたいとする。共通チケット発行などの構想もあり、渡辺学芸員は「一茶の功績を次世代へ受け継いでいくためにも協力を深めたい」と話した。

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