灘かぶら寿しの仕込みに精を出す女性たち=七尾市黒崎町のウィード能登

灘かぶら寿しの仕込みに精を出す女性たち=七尾市黒崎町のウィード能登

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七尾・南大呑 最後の「灘かぶら寿し」

北國新聞(2020年12月16日)

 富山県境に近い七尾市南大呑地区で、特産の「灘かぶら寿(ず)し」の仕込みが進んでいる。製造する会社が従業員の高齢化と後継者不在のため、来年3月末での廃業が決まった。かぶら寿しの販売は昨年が最後の予定だったが、常連客や取引先から「あの味をもう一度だけ」とリクエストが相次ぎ、急きょ製造することにした。住民は「地域でこの味を継いでいけたら」と思いを込めている。
 灘かぶら寿しは、同市や南砺市産の白カブと近海で水揚げされたブリを、自家製麹(こうじ)の甘酒で漬け込んで作る。岡野之也社長(88)が1998年に「ウィード能登」を創業し、妻の慶榮(よしえ)さんと岡野家に代々伝わるかぶらずしの製法と味を再現して売り出すと、年末年始の贈答品として人気となった。
 南大呑地区は高齢化と人口減少が進んでおり、約50年前に420世帯あった人口は現在275世帯まで減った。地元住民を雇用し、手作りのおいしさを追求してきたウィード能登も従業員が高齢化。料理上手だった慶榮さんが2年前に亡くなり、岡野社長の後を継ぐ人もいないこともあって来年3月末で解散することになった。
 顧客や取引先には昨年のうちに廃業を伝え、今年は灘かぶら寿しを仕込まないと決めていた。だが、毎年注文している県内外の常連客や、贈答品に灘かぶら寿しを採用していた県内企業から「最後にもう一度作ってほしい」と頼み込まれ、11月に入って仕込みをすることに決めた。
 今年は例年よりやや少ない約3万トンの出荷を見込む。同市黒崎町のウィード能登の工場では、地元の女性たちがカブの皮むきや漬け込みに精を出している。
 最後の灘かぶら寿しは21日から販売を開始する。岡野社長は「南大呑の特産品にしようと思って20年余り頑張ってきて、おかげさまで多くの人に愛された。今後は地域で話し合い、何らかの形でこの味を継いでいければいい」と話した。

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