復興工事が完了した山門(手前)と香積台(奥)=輪島市門前町の總持寺祖院

復興工事が完了した山門(手前)と香積台(奥)=輪島市門前町の總持寺祖院

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震災からの復興完了 總持寺祖院、総工費40億円 輪島・門前

北國新聞(2020年12月22日)

 能登半島地震から13年9カ月。甚大な被害を受け、境内の風景が一変した輪島市門前町の曹洞宗大本山總持寺祖院で21日までに、修復工事が完了した。平成、令和にまたがり進められた大工事は総工費約40億円、總持寺の長い歴史の中でも屈指の規模となった。地域復興の象徴として位置付けられる古刹(こさつ)は、来年には開創700年の舞台として、多くの参詣者を迎える。
 「できるかどうか分からなかった工事。ようやく終えることができた」。震災復興委員会事務局長の髙島弘成(こうじょう)副寺(ふうす)(47)は修復を終えたばかりの回廊から感慨深げに境内を眺めた。
 2007年3月の地震では境内の国登録有形文化財17棟全てが被災した。同年6月に復興委員会を組織し、完成までの費用や資金調達のめどが立たないまま、「見切り発車」の着工となった。
 地震から2年後には、修行僧の生活の場である「僧堂」、その後、境内で最も大きい「大祖堂」や「山門」などの工事を終え、今年は「回廊」と参拝客の受付や客室などがある「香(こう)積(しゃく)台(だい)」の修復が進められた。
 回廊の一部は、境内に重機や資機材を搬入するため着工時に解体し、最後の工事となった。21日から参拝者が被災前と同じ順路で拝観できるようになった。
 莫(ばく)大な事業費は曹洞宗の復興予算や、地元のほか約9400カ寺から集まった寄付金でほぼ賄うめどがついた。それでも東日本大震災の復興工事や東京五輪の建設工事による資材高騰などもあり、道のりは平たんではなかった。
 当初から復興に携わった中枢メンバーの中には鬼籍に入った人もおり、流れた年月の長さを物語る。来年4月6日に總持寺開創700年記念事業と合わせ、修復完了を記念する落慶法要が営まれる。髙島事務局長は「多くの人の支援があって完了することができた。力を合わせて、復興した寺を守り続けていきたい」と話した。
 輪島市は落慶法要に合わせて、震災からの完全復興宣言の式典を行う。梶文秋市長は能登半島地震からの復興と言い切るには、總持寺祖院の復興無くしてあり得ないとの思いで心待ちにしていたとし、「ようやく完全復興を宣言できる所までたどり着き、感無量である」と多くの支援に感謝した。

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