福井県越前市味真野地区に伝わる国の重要無形民俗文化財「越前万歳」の保存会は12月22日までに、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために毎年1月1日に行ってきた舞の奉納を来年は中止することを決めた。
越前万歳は、新年の祝福芸として1500年の歴史があるとされている。扇を手に舞う「太夫(たゆう)」と、独特のリズムで太鼓をたたいてはやし立てる「才蔵(さいぞう)」が軽妙なやりとりを演じる。
一時は衰退の危機にあったが、1964年に有志が保存会を結成して伝統を継承。75年ごろからは同市池泉町の味真野神社で毎年元日に舞を奉納し、多くの見物客を集めていた。近くの市商工会味真野会館に場所を移し、味真野小の児童たちでつくる「越前万歳クラブ」が披露する初舞も来年は中止する。
保存会の会長は「毎年の奉納ができないのは寂しいが、来年は人が集まるのを避けるために中止した。次世代に伝統を伝えていくためにも再来年は再開したい」と話している。