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平和の祭典の意義伝え 坂井市で「オリ・パラと教科書」展

福井新聞(2021年1月23日)

 福井県坂井市の県教育博物館で、特別展「オリンピック・パラリンピックと教科書」が開かれている。小学校の国語や道徳の教科書で取り上げられた五輪の由来や日本選手の活躍をはじめ、感動のエピソード、支えた人々を紹介。約70点を並べ、スポーツの祭典の意義や平和の尊さを伝えている。3月28日まで。

 戦後から1970年代中ごろまで、教科書には五輪や出場選手の話題が数多く掲載されていた。64年の東京大会のころをピークに減っていったが、近年は今夏の東京五輪を前に、再び選手たちの生き方などが紹介されるようになった。

 展示では、マラソンの起源や近代五輪の創始者クーベルタンの「参加することに意義がある」との理念を解説するパネルに加え、それらを紹介する教科書が並んでいる。

 日本選手は五輪で躍動した。強豪の北欧勢を相手に健闘した陸上長距離の村社講平、日本人女子最初のメダリスト・人見絹枝のほか、ラジオ放送の「前畑ガンバレ」で知られる水泳の前畑秀子らを紹介。馬術に出場した城戸俊三がゴール目前、息も絶え絶えの老いた愛馬をいたわって棄権し、感動を呼んだエピソードにも触れている。

 東京五輪の招致活動で脚光を浴びたパラリンピック陸上の谷真海選手(旧姓佐藤)のスピーチや、過去の五輪で聖火リレーの最終ランナーを務めた選手らオリンピックを支えた人々も紹介している。

 五輪は戦争の影響で3回中止となった。展示では38人の「戦没オリンピアン」のリストも。硫黄島で戦死した馬術の西竹一、水泳の河石達吾はともにメダリスト。河石は生まれたばかりの長男と会うことなく亡くなった。その内容を記した道徳の教材「父からの手紙」などを紹介している。

 同館の担当者は「アスリートの努力する姿、人種や国籍を超えたスポーツの祭典の意義、平和の尊さを感じてほしい」としている。

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