民俗学者柳田國男(1875~1962年)が明治時代に福井県嶺南地方を訪れたときの足跡を、見聞を記録した著書「北国紀行」や当時の資料写真でたどる「柳田國男が見た明治の若狭路~『北国紀行』の旅~」展が29日、小浜市の県立若狭図書学習センターで始まった。2月28日まで。
福井県が誕生した「ふるさとの日」(2月7日)に合わせて、同センターが企画した。北国紀行の文章をパネルにし、訪れた嶺南各地の当時と現代の写真を添えて展示。約200点の資料を通して「明治末期の風景や人々の暮らしを克明に記録した柳田の民俗学的な視点」(同センターの渡辺力主任)に触れられる。
柳田は1909(明治42)年、農政官僚として中部、北陸を視察。嶺南には6月22~27日の6日間滞在した。国有林などの林業関係地だけでなく、名所、旧跡、学校、書店などにも立ち寄っている。
おおい町名田庄地区では女性の仕事着のはかま「カルサン」姿が印象に残ったようで「田草取る娘たち皆之を穿(うが)てる(履いている)」と記録。また「敦賀は水の良い処(ところ)。家々の前に噴井あり、心持の好い町なり」、高浜から舞鶴へ向かうときには「若狭は総体に昔風の国なりと思ふ」と感想を記している。地図、写真が充実し、柳田の旅に思いをはせることができる。
「若狭国志」「(小浜藩士で国学者の)伴信友(ばんのぶとも)絵はがき」など北国紀行に書かれた書籍も展示している。
午前9時開館。閉館は平日午後7時、土日祝日は同6時まで。期間中の休館日は2月1、8、12、15、22、24日。