造船所で公開している木造船の製造工程

造船所で公開している木造船の製造工程

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天竜川の川下り船作り、技を後世に 高森で7日まで公開

信濃毎日新聞(2021年2月1日)

 天竜川で川下り船を運航する飯田市の事業者などでつくる「天竜川和船文化保存会」は31日、高森町下市田の造船所で木造船を製造する様子を公開した。川下り船の造船は船頭たちが冬場の仕事として受け継ぎ、同保存会が2019年から技術の継承や発信に向けて公開している。今季は7日まで毎日、見学できる。

 川下り船は、船首と船尾が細くなったササのような形で、全長12メートル余。この日は船大工4人が、船体側面の「側板(がわいた)」と呼ばれる杉板をくぎだけで固定する工程に臨んだ。設計図などはなく、型板に合わせてかんなで削った板をつなぎ合わせ、船体側面の曲線をつくる。造船は昨年12月から始め、2月中旬には1隻が完成予定だ。

 造船所では、信南交通(飯田市)が運航する「天竜舟下り」の船大工、矢沢啓志(ひろし)さん(60)がくぎを打つ小気味の良い音が響いた。造船を学び始めて2年目の柴田拓朗さん(23)は「つち音にリズムがあり、自分とは全く違う。10年くらいかけて(矢沢さんに)追い付きたい」。矢沢さんは「出来が良い船は、自分でこいでも流れ方が違う。経験や感覚が(大工の)伸びしろになる」と期待していた。

 見学は午前10時と午後2時の2回。無料。会場などの問い合わせは保存会事務局(電話0265・24・3345)へ。

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