雪像会場の一つとなっている福寿町区。住民らが新型コロナ感染に気を付けながら雪像造りを進めている

雪像会場の一つとなっている福寿町区。住民らが新型コロナ感染に気を付けながら雪像造りを進めている

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悩んで手探り、雪まつり準備 飯山で13日から2日間

信濃毎日新聞(2021年2月10日)

 飯山市の冬の風物詩「いいやま雪まつり」(主催・飯山雪まつり市民協議会)は13日、新型コロナウイルスの収束が見通せない今年も、2日間の日程で始まる。コロナ禍での開催は前例がなく、飯山商工会議所青年部で構成する運営母体の実行委員会や、雪像造りに取り組む市民らは、悩ましさも抱えながら、雪を楽しむという雪まつりの原点に立ち返ろうとしている。

 「『やるか否か』から始まった雪まつりだった。そんな中でできうる形のまつりを考えてきた」。5日、飯山商工会議所(飯山市)で開かれた雪まつりの決起集会で、集まった20人ほどの商議所青年部でつくる実行委員メンバーを前に、実行委員長の上村充さん(42)は語った。

 毎年年度が替わる頃から実行委員会を中心に準備が始まる雪まつり。既に昨年4月には全国に緊急事態宣言が発令されていた。オンライン会議を繰り返し、夏に計画のたたき台を作成。9月には協議会長を務める足立正則市長に実施の方針を伝えた。

 だが、感染拡大はとどまらず、11月には実行委員内で開催の可否を問うアンケートを行った。「規模縮小」を求める声が多く、「中止」と答えるメンバーもいた。「どの考えも理解できる。だからこそ悩んだ」と上村さん。1983(昭和58)年に始まり、豪雪の時も雪不足の時も、中止せず続いてきたイベントの重みを感じていた。

 そんな中、毎年雪像を造る地元住民から「雪まつりがなくても雪像は造るぞ」「こんな時だからこそ、雪まつりをやるべきだ」と声を掛けられた。その思いに「背中を押された」上村さん。「地域の経済を担い、盛り上げることが自分たちの役割」。気を引き締め、開催を決断した。

 既に飯山市街地では地元住民による名物の雪像造りが着々と進んでいるが、不安の声も。ある区長は「実行委員会が実施を決めたんだから覚悟を持って臨むが、感染者を出してはまずいという不安もある」と漏らす。

 この区は雪像造りの参加人数を制限して感染防止に努めている。今回は例年盛り上がる各区対抗のコンテストが開かれないものの、連日、仕事が終わる時間に集まり、雪像造りを進めている。区民の1人は「自分たちも楽しみ、地域の子どもにも雪の楽しさを伝えたい」と話す。

 豪雪の負のイメージを逆手に取り、当時の商工会に所属していた若者らが「克雪」「利雪」「親雪」「遊雪」を合言葉に始めた雪まつり。上村さんは「今回は雪まつりの原点に立ち返りたい」と意気込んでいる。

 今年は来場者の密集を防ぐため、メイン会場を設けず分散型で開催する。雪像は5会場で展示、飲食の振る舞いなどはやめる。毎年親子連れでにぎわう雪を使った遊び場も開設しない。代わりに飲食店など約20店舗が390円のメニューを考案し、市街地を回る催しを企画している。

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