印象派を代表する風景画に見入る美術ファンら=27日、福井市の県立美術館

印象派を代表する風景画に見入る美術ファンら=27日、福井市の県立美術館

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風景画きらめきの美 福井県立美術館で企画展

福井新聞(2021年2月28日)

 森の木々や水面のきらめき、空の青や日の光...。自然景観にモチーフとしての可能性を見いだしたバルビゾン派のコローから印象派のモネまで、19世紀フランス風景画の変遷をたどる企画展「風景画のはじまり~コローから印象派へ」(福井新聞社共催)が2月27日、福井市の県立美術館で開幕した。歴史画や宗教画に取って代わり、フランス近代絵画の主役に躍り出た風景画76点が美術ファンの目を引きつけている。

 仏ランス市のランス美術館のコレクションを中心に、油彩画と版画を5章構成で紹介している。

 19世紀は鉄道が発達し、持ち運びできるチューブ入り絵の具も登場。写生旅行が増えパリ南東、バルビゾンの森に画家が集い始めた。後にバルビゾン派と呼ばれる風景画家の先駆けがコロー。逆光でシルエット気味の湖畔の木々を霞(かすみ)がかかったように淡く描き、木漏れ日を引き立たせた作品群が会場を穏やかに彩る。
 風景に動物を登場させたトロワイヨンや季節感と光の表現を追究したアルピニーの写実画、空の青を鮮やかに再現した"空の王者"ことブーダンのまばゆい色使いも目を引く。

 水面の揺らめきや刻々と変わる日の光が見せる「一瞬の美」の表現は、モネやルノワール、ピサロら印象派の代名詞。絵の具を混ぜず重ねず、異なる色を連ねる「筆触分割」で描かれ、近代西洋画に革新をもたらした表現が来場者の視線を集めている。

 佐々木美香さん(34)=鯖江市=は印象派の絵画に見とれ「川面に反射した光がきれい。時間帯や天気、川の流れの速さで変わる反射の一瞬を、まるで写真のように切り取っている。連日同じ時間に通い詰めてスケッチを繰り返したのだろう」と想像を膨らませていた。

 3月21日まで。一般1400円、高校生800円、小中学生500円。毎週土曜午前10時半から解説会がある。県立美術館=電話0776(25)0452。

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