上田電鉄(上田市)は、2019年10月の台風19号で被災した別所線が全線開通する28日、全運行電車を無料で利用できる「無料乗車デー」にすると3日発表した。これまで寄付などで支援・応援してくれた人たちへのお返し―として企画。記念式典や観光イベント、関連グッズの販売を催して節目を盛り上げる。
当日は日曜だが、混雑しないよう上下57本と本数が多い平日ダイヤで運行。加えて、台風で一部崩落した赤い鉄橋「千曲川橋梁(きょうりょう)」を初めて渡る「1番電車」を、始発前の午前5時55分上田駅発で下之郷駅まで臨時運行する。鉄橋がある千曲川左岸堤防道路では午前11時、市と同社が記念式典を開催(関係者のみ)。記念電車が鉄橋上に一時停止し、テープカットで祝う。
上田、別所温泉両駅でキーホルダーなど同社オリジナルの記念グッズを販売。上田駅では同社、しなの鉄道、JR東日本が合同企画した記念切符も購入できる。同駅自由通路では、上田商工会議所と信州上田観光協会が軽食や土産品を販売する「上田駅ナカ横丁」を開く。
別所線は、昨年6月に認定された上田市の日本遺産「レイラインがつなぐ『太陽と大地の聖地』~龍と生きるまち信州上田・塩田平」の構成文化財の一つ。市日本遺産推進協議会は28日、市内の国宝安楽寺八角三重塔(別所温泉)、重要文化財信濃国分寺三重塔(国分)にそれぞれ安置されている「大日如来坐像」を特別公開する。
上田電鉄の担当者は「多くの支えのおかげで復旧できる。全線開通の節目に感謝の思いを伝えたい」としている。