おたや階段のそばに建つ「おたや東」(左)と「おたや西」

おたや階段のそばに建つ「おたや東」(左)と「おたや西」

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「風の盆」の町で空き家 サブスク 富山・八尾、通年観光目指す

北日本新聞(2021年3月27日)

 富山市八尾地域中心部の空き家3棟を改修した宿泊施設が4月にオープンする。市の委託を受けた地元の民間会社が、年々浸透しているサブスクリプション(定額制)のサービスで運営。空き家を利用し地域活性化につなげる市のモデル事業の一環として、「おわら風の盆」だけではない八尾の通年観光の促進を目指す。(野村達也)

 新たにできる施設は「凪(なぎ)」と名付けた。3棟を「なりひら」(八尾町上新町)、「おたや東」(八尾町鏡町)、「おたや西」(同)とし、なりひらは上新町通り沿い、もう2棟はおたや階段のそばに建つ。京町家の風情を取り入れており、それぞれ造りが異なる。和紙製造の桂樹舎(同)による装飾や、地元大工の技術を施した。1棟を1組に貸し出し、定員は4~7人。

 市は八尾地域中心部で売却に応じた空き家22棟のうち3棟を買い取り、昨年から約1億5千万円をかけて改修。今年1月末に工事を終えた。地元で宿泊施設を営むオズリンクス(原井紗友里社長)と八尾式(武内清代表)が運営する。

 利用客と継続的につながりが持てるよう、会員制を導入。年会費16万5千円で年間3泊できる。1晩で3棟全てを貸し切ったり、別日程で1棟ずつ泊まったりと自由に活用できる。旅先で休暇を楽しみながら仕事をする「ワーケーション」の企画も検討中。非会員向けのプランもある。

 凪には観光促進と空き家対策の両面で期待がかかる。八尾では毎年9月1~3日に行われる「おわら風の盆」期間外のにぎわい創出が課題だ。最新のデータで市内に5700戸以上ある空き家の活用法についても模索が続く。市居住対策課は「八尾の観光拠点として、空き家の生かし方の一つとして、多くの人に知ってほしい」としている。

 原井社長と武内代表は「通年で八尾に来てもらえる仕掛けを考え、ファンを増やしたい」と話した。

 27日に予約不要の内見会を開く。4月3~30日のプレオープン期間は割安のモニター価格で利用できる。本格オープンは5月1日。問い合わせは凪の公式ホームページで受け付ける。

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