精巧は船の模型が並ぶ胡間さんの作品展=4月13日、福井県高浜町郷土資料館

精巧は船の模型が並ぶ胡間さんの作品展=4月13日、福井県高浜町郷土資料館

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造船支えた大工・故胡間さん作 船模型で知る高浜の往時

福井新聞(2021年4月15日)

 明治から昭和に掛けて福井県高浜町で船大工として活躍した故胡間(ごま)利一さんが作った和船模型や船大工道具の展示会が4月18日まで、町郷土資料館で開かれている。船の部材1点1点を忠実に再現した模型は精巧そのもの。沿岸や遠洋漁業、巾着網漁用など多彩な漁船が並び、漁業風景の写真も展示。漁業地として栄えていた往時の高浜をうかがい知ることができる。

 胡間さんは明治27(1894)年生まれ。小学生のころから船大工の父の下で修業を積み、80歳頃まで高浜の造船業を支えてきた。船造りの際には、模型を作っていたといい、晩年はその技術を生かして和船模型作りに没頭。90歳で亡くなった。

 町教委は2019年、昭和の造船技術と歴史を語る貴重な民俗資料として、胡間さんの船大工道具365点を町有形文化財として指定した。この道具を使ってどんなものが作られたのか知ってもらおうと、今回の展示を企画した。

 若狭地方の沿岸漁業の主力として、刺し網漁、一本釣りなどで活躍した「ハガセブネ」の模型は、全長219センチ、幅37センチと迫力の大きさ。甲板や側面の板材、櫂(かい)、かじ、いかりなど正確に一つ一つ作られ組み合わされている。遠洋漁業に使われた漁船の模型は全長166センチ。操舵(そうだ)室、船室が精巧に再現され、船の側面の構造が分かるように、骨組みがむき出しとなっている。

 このほか、昭和30年代に若狭地方に導入されたサバの大量漁獲に適した巾着網漁船や、同町小黒飯(おぐるい)で使われた「ハコテンマセン」の模型、模型作りに使われたまるでミニチュアのように小さい船大工道具も展示されている。昭和30年代の船に関する写真12点もあり、何隻もの漁船が写る風景から、当時の活気が感じられる。

 同館の担当者は「高浜は昔はサバの水揚げ地として有名だった。現在は観光の町のイメージだが、漁業が一大産業だったことを知ってほしい」と話している。午前9時~午後5時開館で入館無料。問い合わせは同館=電話0770(72)5270。

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