公開されている弘法大師坐像=4月18日、福井県越前町朝日観音福通寺

公開されている弘法大師坐像=4月18日、福井県越前町朝日観音福通寺

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室町期仏師作の弘法大師坐像を公開 朝日観音福通寺

福井新聞(2021年4月19日)

 昨年5月の調査で内部から文明3(1471)年に造立、寄進されたことを示す墨書きが見つかった福井県越前町の朝日観音福通寺の弘法大師坐像(ざぞう)が4月18日、公開された。福井市の学芸員でもある藤川明宏住職は「室町時代の仏像の調査はそれほど進んでいない。同時代の仏師による、生き生きとした表情を見てもらいたい」と話している。公開は5月5日まで。

 同寺本堂の厨子(ずし)内に安置されていた坐像は、高さ27・2センチのヒノキの寄せ木造り。法衣、けさ姿の真言宗の開祖弘法大師で、左手は膝上に置いて念珠を握り、右手は胸の前でひねって五鈷杵(ごこしょ)を握って座っている。

 墨書きは像内部背中側で見つかり「この弘法大師像は仏所卿である院増が、その子息の大輔公と宰相公とともに3人で造立し、郡榮山朝日寺常住本尊として文明3(1471)年2月21日に寄進した」という内容だった。

 衣文表現や構造などから、平安後期から京都を拠点に活躍した仏師の一派「院派」の作と考えられ、墨書きの「院増」「大輔公」「宰相公」の3人は院派の仏師とみられるという。

 藤川住職によると、寄進先の「郡榮山朝日寺」は、朝日観音福通寺の中世以前の寺名。文字が残されている仏像は鎌倉時代以降は増えていくが、現在の発見数はそう多くないという。
 
 今年が坐像の造立から550年になり、寺の春季縁日に合わせたこの日から公開された。藤川住職は「制作した仏師と年代が分かり、この坐像が室町時代の仏像研究基準になると思われる」と話している。調査成果は、朝日観音福通寺のウェブサイトで公開している。

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