今月10日に新装開館した長野県立美術館(長野市)で24日、ダンサーの田中泯(みん)さん(76)=山梨県=が即興的な「場踊り」を披露した。開館を記念した催しの一つ。本館と東山魁夷館の間にある水場「水辺テラス」に立ちこめた霧の中、田中さんは体全体を使った表現で集まった観客を魅了した。
霧も作品の一つで、美術家中谷芙二子(なかやふじこ)さん=東京=が手掛けた「霧の彫刻」。田中さんは、風で動く霧に合わせて水の中で寝転んだり、天を仰いだり。緩急を付けて約45分間、独特の動きで観客を引きつけた。会場には事前予約した約60人に加え、ひと目見ようとする人も周辺で足を止めて見入り、終了後に大きな拍手を送った。
長野市の中学2年生、鴨林円(まどか)さん(13)は「今まで見たことがない表現だった」。踊り終えた田中さんは「楽しかった。思い付くままに踊った。見えないけれど、1人ではなく(一緒に)誰かがいるようだった」と充実した様子で話していた。