2年前に小松市内に移送された旧国鉄の車掌車(ブレーキ車)の修復作業が28日までに完了し、往時の淡い緑色の姿を取り戻した。昭和の鉄道貨物を支えた希少な車両で、29日の「昭和の日」を前に、同市のボンネット型特急電車保存会が1年かけて行った。往時の姿のままで現存しているのは全国では2両のみで、「乗りもののまち・小松」の魅力向上に一役買う。
保存会によると、車掌車は全長7・83メートル、幅2・64メートル、高さ3・75メートル、重さ約10トン。1952(昭和27)年に国鉄金沢鉄道管理局松任工場で造られた「ヨ3500型4030号車」で、59年の改造後は「ヨ5003」として走行した。
コンテナ特急「たから」に連結されていたとみられ、引退後は長野県内のコレクターが保管していたが、保存会の岩谷淳平事務局長が所有者と交渉し、2019年9月に小松に運んだ。
老朽化した車両から、だるま式暖炉や椅子などを取り外し、塗装し直した。使える部品は修理して活用し、窓枠などは別の車両で使っていたものを調達。外装には「たから」のテールマークや松任工場で製造されたことを示す「製造銘板」を取り付けた。費用は約200万円を要した。
保存会によると、この車掌車と同型の車両は京都鉄道博物館(京都市)でしか確認されていない。
車両はトレーラーでの運送が可能で、イベントなどを行う事業者などに貸し出す。映像撮影や広告利用にも応じる。年に数回、一般公開の場を設ける。
JR小松駅近くの土居原ボンネット広場には北陸線で主に特急として活躍した車両「クハ489―501」が展示され、市の委託を受けて保存会が管理している。
このほかにも市内には県立航空プラザや日本自動車博物館といった乗りものに関連する展示施設が充実している。
岩谷事務局長は観光や地域活性化に役立てたいとし、「全国各地のいろいろな場所で活用してもらい、小松のPRにつなげたい」と話した。