福井県越前市本町の陽願寺で4月29日、特別拝観が始まった。国の登録有形文化財の指定を受けた本堂などの建造物や寺宝を、5月9日まで期間限定で公開している。
同寺は1852年の大火で当時の建物を焼失したが、多くの門徒の協力で再建を果たした。文化財の指定を受けたのは、江戸後期以降に再建された本堂と庫裏、対面所、御殿、洋館、客殿、納骨堂、土蔵、鐘楼の9棟。特別拝観ではこのうち客殿と土蔵を除く7棟を公開している。
門主との対面の儀式を行うための対面所をはじめ、歴代の門主を迎え入れるための上質な建築や、新緑が鮮やかな庭園などが見どころ。藤枝聖住職は「ふだんは公開していない歴史ある建造物を、美しい庭園の景色と合わせて楽しんでいただきたい」と話している。
期間中、特別展「陽願寺と宮中の繋(つな)がり」も同時開催。3月に市指定文化財となった、桜町天皇(1720~50年)の位牌(いはい)と厨子(ずし)、光格天皇(1771~1840年)の冠など、宮中とのつながりを示す貴重な資料を展示している。
午前9時~午後4時。拝観料は一般500円、中高生300円。