長野市戸隠の戸隠神社は9日、宝光社のご神体を輿(こし)「鳳輦(ほうれん)」に載せて、約3キロ離れた中社に移す神事「渡御(とぎょ)の儀」を行った。7年目に1度開く式年大祭(4月25日~5月25日)の中心行事の一つ。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、行列の人数を減らしたり、一部の行程で鳳輦をトラックに積んだりしながら慎重に進めた。
宝光社の祭神「天表春命(あめのうわはるのみこと)」を、中社の祭神で父親の「天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)」と対面させる神事。白装束に身を包み、マスクや手袋を着けた地元の男性ら16人が、約230キロの鳳輦を担いだ。雅楽が奏でられる中、約200メートルの行列が新緑に彩られた坂道を上った。
行列は従来の約500人から約150人に減らし、看護師が待機する相談所も設置。約3キロの行程のうち2キロは鳳輦をトラックで運んだ。マスクを着けて上り坂を進んだ担ぎ手の徳武祐樹さん(43)は「苦しくて歩くだけで精いっぱい。コロナ収束を願うばかりです」。
約3時間で中社へ到着すると、神職たちが絹の布で覆ってご神体を社殿へ移した。千曲市から訪れた主婦町田弘子さん(65)は「荘厳で心が洗われるよう」と話していた。
23日には天表春命のご神体を宝光社に戻す「還御(かんぎょ)の儀」がある。