フランスの老舗デパートで展示される、いとやのちょうちんを使った作品(完成イメージ図)

フランスの老舗デパートで展示される、いとやのちょうちんを使った作品(完成イメージ図)

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坂井市三国町のちょうちんがチョウの繭に フランスで常設

福井新聞(2021年5月27日)

 フランス南部モンペリエ市の老舗デパートで6月から、福井県坂井市三国町南本町2丁目の「三国提灯(ちょうちん) いとや」が制作したちょうちん280個が作品として常設展示される。制作した3代目の小島まりやさんは「思ってもみなかった海外進出」と、伝統の技が海を渡ったことを喜んでいる。

 同店は骨組みから和紙の貼り付け、絵付けまでを一貫して行っている県内では数少ない手作りの提灯店。春と秋の祭りの時期には、県内外から多くの注文が寄せられている。

 今回は、パリ在住の日本出身アーティスト「TsuyuBridwell」さんと2019年11月から連絡を取り合い、デパート内の吹き抜けで展示するインスタレーション「繭(まゆ)たちの踊り」用に制作した。

 完成した作品(高さ約15メートル、幅約7メートル)は、チョウの繭に見立てたちょうちんを天井からつるし、人々が行き交う空間を演出する。

 ちょうちんは高さ約50センチ、直径約40センチ。下部をすぼめた形にして白い越前和紙を使った。規格品と形が違い骨組みの目が粗いため、和紙をきれいに貼るのが難しく、当初は一つ作るのに2時間以上かかった。作るごとに練度が上がり、小島さんは一個30分程度で作れるようになったという。

 ちょうちんの魅力についてアーティストは「素材が和紙のため、軽くて透明感がある」とし、「コンクリートや鉄筋、ガラスといったコンテンポラリー(現代的)な素材の環境でも、かえって超モダンで落ち着いて見える」と評価する。

 小島さんは「小さい店だけれど、頑張っていれば誰かが見てくれている。海外の人にちょうちんを見てもらえるのがうれしい」と話している。

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