中央アルプスでのライチョウの個体群復活に取り組む環境省信越自然環境事務所(長野市)は2日、北アルプス乗鞍岳から昨年移したライチョウが冬を越えて生きていることを確認したと発表した。2018年に飛来が確認された雌1羽も加え、少なくとも13羽が生存。この雌1羽を含めて3組のつがいができ、今後の産卵に期待している。
4月下旬~5月末、信越自然環境事務所の調査や登山者の目撃情報により、駒ケ岳周辺で雄5羽、雌5羽を確認して識別した。山頂付近から最大5キロ南までの3カ所でふんや足跡などの痕跡があり、別に3羽が別に生きていると判断できるという。
つがいの産卵は、5月上旬の雪の影響で例年より遅くなる可能性もあるが、6月中になるとみている。ふ化したら家族ごとにケージで夜間などに保護してひなが大きくなるのを待つ。3家族を中アに残す計画で、それ以上の家族ができた場合は動物園などで繁殖させる事業を展開する。
環境省は18年に雌1羽が飛来したことを受け、中アにライチョウが生きられる環境があるとし、個体群復活に取り組んでいる。昨年夏は雌3羽とそのひな16羽を乗鞍岳からヘリコプターで移した。1週間程度、ケージで保護して放鳥。ひなは秋ごろ親鳥から離れて群れをつくり、雪解けとともになわばりを持ってつがいになったとみている。
信越自然環境事務所の小林篤・生息地保護連携専門官は今回の確認について「大きく減らないとは思っていたが、10羽以上生きていてほっとした。事業を進められるかどうか、引き続き調査して判断する」と話している。
ライチョウは足輪の色で識別しており、登山者らの目撃情報を募っている。