実の状態を確認する呉羽梨の生産者=富山市呉羽地区

実の状態を確認する呉羽梨の生産者=富山市呉羽地区

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着果少なく また収量減? 呉羽梨、春の霜で打撃 あられ・ひょうで実に傷

北日本新聞(2021年6月13日)

 富山市特産「呉羽梨」の今シーズンの収穫量が例年を下回る恐れがあり、関係者が頭を抱えている。2、3月に気温が高くなって開花が早まり、その直後に霜が降りて実がなりにくくなったためだ。あられやひょうが当たって実が傷つく被害もあり、例年に比べて収穫量が3割以上少なくなるとの見通しもある。県や農協は調査を進め、生産者に実の管理方法を指導していく。

 気象庁によると、富山の平均気温は、2月が5・1度(平年3・4度)、3月が9・6度(同6・9度)といずれも高くなった。この影響で、主力品種「幸水」は例年よりも10日早く満開を迎えたが、直後に霜が降り、めしべが枯れて受粉が進みづらくなった。

 県農業技術課は、富山市吉作、住吉の両地区で栽培する幸水の畑計90ヘクタールの85%で、例年の着果数を下回ったとみる。そのうちの4割近くの畑では、着果数が半分以下になったという。

 JAなのはな呉羽梨選果場の土田昭場長は「霜の被害が広範囲にわたるのはここ数十年で初めて。ほとんど着果しなかった農家もある」と語る。昨年は6月後半から7月の長雨や8月の猛暑の影響で、収穫量が例年の3割減の2200トンに落ち込んだだけに「昨年もできが悪かったが、今年はもっとひどい。多くの生産者が嘆いている」と肩を落とす。

 着果後には、ひょうやあられの影響で実に傷が付いた。「売り物になる果実が少なくなる」と漏らすのは、寺脇農園(住吉)を営む寺脇英俊さん(75)。ひょうが当たって穴のあいた実が多く「これからどうしよう」と頭を抱える。

 地産地消の推進に向けて1日に開かれた県の会合では、青果の卸売業者が「収穫量が例年の6割に落ち込む」との見通しを示した。新田八朗知事は「きれいな商品は少なくなるかもしれないが、傷が付いても買ってあげようという県民の気持ちで生産者を支えてもらいたい」と述べた。

 今後の対策として県は、育てる実を選別する摘果作業で例年なら摘み取る小さな果実や傷んだ実、変形した実もできるだけ残し、可能な限り実の数を確保するよう呼び掛ける方針。

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