飼育場で飛び交うホタル。地元団体が半世紀余り保全に取り組んでいる=6月8日、福井県福井市安波賀町(特別に許可をもらって飼育場内から撮影しています)

飼育場で飛び交うホタル。地元団体が半世紀余り保全に取り組んでいる=6月8日、福井県福井市安波賀町(特別に許可をもらって飼育場内から撮影しています)

福井県 福井・永平寺 アウトドア・レジャー その他

ホタルの里守り半世紀 住民一丸で豪雨乗り越え 福井市

福井新聞(2021年6月17日)

 福井県福井市安波賀町の一乗谷川で6月に入り、多くのホタルが飛び交う様子が見られている。大きな被害をもたらした福井豪雨の復旧を含めた集落内の護岸工事は今春に完了。地元が半世紀近く取り組む保全活動が実を結び、「ホタルの里」は自然災害にも負けず、かつての姿を徐々に取り戻し始めている。

 「すごくたくさんいるよ」「お母さんもこんなに見るのは初めてかも」。6月7日夜、アシの茂った一乗谷川には、100匹余りのホタルが舞っていた。地元の親子連れが訪れ、古里の光のショーを楽しんでいた。

 安波賀町では、住民団体「一乗観光フリーサービスクラブ」が1973年に設立された。集落内の飼育場でのホタルの交配をはじめ、幼虫の餌となるカワニナの確保、河川の環境整備などに取り組んでいる。

 会員の思いは、護岸工事による河川環境の変化や農薬の影響などで姿を消していった、ホタルが飛び交う風景を復活させたいという一念。昨年まで同団体の会長を務めた男性は「小学生の時、一乗の山では辺り一面ホタルが輝いていた。あの美しさは今でも忘れられない」と振り返る。78年にはホタル祭りの開催を始め、夏の到来を告げる地元の観光資源となった。

 2004年の福井豪雨では、一帯が壊滅的被害を受けたが飼育場は被害を免れた。07年には祭りを鑑賞会に形を変えて再開。その後も集落内の護岸工事が本格化する17年まで実施してきた。

 今年は護岸工事完了まもないこともあり、鑑賞会の実施は見送ったが、6日には会員らが飼育場周辺の草刈りや足元の照明設置を行った。会長は「父親の代から続いてきた活動。見に来てくれる人のためにも続けたい」と話す。

 団体設立から半世紀近く。多くの会員は世代交代しており、3代目の会員もいる。35年近く飼育場を管理する男性は「ホタルを見た人が『きれい』『癒やされる』と喜んでくれる笑顔がうれしくてずっと取り組んできた。後継者問題もあるが、人の手がなくてもホタルが自然に見られる環境になるよう、あと少し頑張りたい」と目を細めた。

えきねっと びゅう国内ツアー

福井・永平寺 ニュース