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古代役所の痕跡迫る あわら市郷土資料館 製塩土器など

福井新聞(2021年7月10日)

 福井県のあわら市郷土歴史資料館で、企画展「北潟湖ほとりの古代役所と塩づくり」(福井新聞社後援)が開かれている。細呂木地区の遺跡から出土した5世紀末~9世紀初めの土器や木製品104点を展示。かつて地区には役所のような施設があり、近くで塩作りが行われていたと推察している。8月29日まで。

 北潟湖近くにある細呂木阪東山(ばんどうやま)遺跡と樋山遺跡で、県埋蔵文化財調査センターが2013年度から2年間発掘調査。出土した須恵器、製塩土器、墨書土器、木製品に焦点を当てた。

 北潟湖は当時、塩分濃度が高く塩作りに適しており、両遺跡からはこれまでに製塩炉が発見され、製塩作業をしていたことが分かっている。

 展示品で注目されるのは細呂木阪東山遺跡から出土した「津家(つのいえ)」と書かれた8世紀の墨書土器。「津」は川湊などを指し、遺跡が北潟湖に面していることから、港湾施設の存在を示唆している。塩と刻まれた製塩土器の支脚や、塩作りで藻の灰と海水を混ぜて煮詰める作業に使ったとみられる製塩土器のほか、復元した製塩炉も展示。

 祭祀(さいし)で神聖な場所を区画する際に使う串状の木製品「斎串(いぐし)」、古墳の副葬品として用いられることの多い須恵器も並べている。まじないの記号が入った墨書土器なども出土しており、同館では普通の集落でなく周辺に役所的な施設があったと推察。近くで塩作りが行われていたのも、役所が食糧貯蔵や物流の機能を担っていたためとみている。

 企画展の担当者は「日用品としては使わない土器や役人が身に着けていたものの一部など、役所があったことを示唆する展示物を見て、あわらの古代史を学んでほしい」と話している。

 関連行事として、11日午後1時半から市民文化研修センター(金津本陣IKOSSA内)で、県埋蔵文化財調査センター前所長の赤澤徳明さんが発掘調査について講演する。問い合わせは同資料館=電話0776(73)5158。

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