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一乗谷朝倉氏遺跡の漆器文化に焦点 出土品80点特別公開

福井新聞(2021年7月11日)

 一乗谷朝倉氏遺跡(福井県福井市)の国の特別史跡指定50周年を記念した特別公開展「一乗谷の漆器と越前」が7月10日、同市の県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館で始まった。同遺跡の出土品を中心に漆器関連の遺物約80点を展示し、戦国時代に一乗谷の武家や庶民に広がった漆器文化と、越前漆器の産地とのつながりをひもといている。8月31日まで。

 同遺跡の発掘調査では、当時の一乗谷の生活を象徴する遺物として1500点を超える漆器が出土している。椀(わん)や皿といった食器が多く、現代まで続く越前漆器産地の鯖江市河和田地区を中心に、越前で作られたものが多いという。

 展示されている黒漆の椀には朝倉氏の家紋にちなんだ「木瓜(もっこう)」などが描かれ、当時はご飯や汁物を入れていた。赤漆で仕上げた「皆朱(かいしゅ)椀」は高級品とされ、朝倉一族や上位武士が使用していたという。

 国指定重要文化財「皆朱飾栓(かざりせん)」と初公開の「皆朱太鼓樽形酒筒側板(たるけいさけつつそくばん)」は、太鼓の形をした大きな酒筒の一部で、武家の華やかな酒席を想起させる。

 このほか、蒔絵(まきえ)や沈金の装飾が施された「金蒔絵木瓜文(きんまきえもっこうもん)黒漆椀」「沈金小柄鞘(こつかさや)」も初公開。ともに越前産とみられ、特に蒔絵は一乗谷に職人がいた可能性があるという。

 18日午後2時から、先着20人を対象に学芸員による展示解説がある。同資料館は今回の特別公開展後に休館し、来年秋の県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館(仮称)の開館後は、調査研究・収蔵棟として活用される。

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