勇ましく乱舞する大奉燈=2019年8月、七尾市石崎町

勇ましく乱舞する大奉燈=2019年8月、七尾市石崎町

 地域のさまざまな文化財を生かして観光振興につなげる「日本遺産」について、文化庁は16日、これまでの取り組みや今後の計画を評価し、能登のキリコ祭りをテーマにした「灯り舞う半島 能登~熱狂のキリコ祭り~」を「認定継続」としたと発表した。小松市の「珠玉と歩む物語」(小松の石文化)の構成文化財も追加認定した。
 評価制度は遺産の水準維持のため今年度から導入した。結果の公表は初めて。評価対象は、2015年度に第1弾として認定された18件で、14件を「認定継続」、4件を「再審査」とした。
 「灯り舞う半島 能登~熱狂のキリコ祭り~」は、新型コロナで祭りが中止されたため目標値を下回った指標があるものの、農村地域を宿泊拠点として整備し観光客の受け入れ態勢が整ってきたことなどが評価された。
 高岡市の「加賀前田家ゆかりの町民文化が花咲くまち高岡」は、地元大学生によるガイドツアーといった積極的な地域連携が評価され、継続となった14件のうち、優れた取り組みを行っている4件の「重点支援地域」に選ばれた。
 「認定取り消し」とされた遺産はなかったが、同庁は更新を保留した4件について、秋以降に公表する再審査の結果次第で取り消しもあり得るとしている。再審査の4件は島根県の「津和野今昔」や「『信長公のおもてなし』が息づく戦国城下町・岐阜」などとなっている。
 また文化庁は新たな候補に「北海道の『心臓』と呼ばれたまち・小樽」など3件を選んだ。これから3年間の活動が十分と認められれば追加される。
 日本遺産は現在104件で、目標の100件を超えた。文化庁は総数をおおむね維持した上で、活動が不十分な遺産の取り消しと新たな候補の追加認定を進める。審査では今後の計画のほか、観光客数などの目標達成度や、ガイド育成や案内板整備といった取り組みを確認した。
 小松市の「珠玉と歩む物語」(小松の石文化)の構成文化財には、「里川石(さとかわいし)の石造物群」や「洞月川(ほらつきがわ)のアーチ型石橋」「尾小屋町のカラミ煉瓦(れんが)建造物群」の3件が追加認定された。構成文化財は計42件となった。
 里川石の石造物群は、同市里川町の神社境内に残る大正期ごろの舟形手水(ちょうず)鉢、石馬(せきば)、多層塔で、石で栄えた地域の歴史を伝える。
 尾小屋鉄道路線跡に架かる洞月川のアーチ型石橋は、地元産の凝灰岩を積み1919(大正8)年ごろ完成し、尾小屋鉱山を支えた産業遺産。同鉱山の製錬過程で出た鍰(からみ)を建材として利用した尾小屋町のカラミ煉瓦建造物群は、鉱山と人々の生活が結び付いた文化的景観が評価を受けた。

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