紙や鉄など、福井県の丹南地域の伝統産業素材を使う「第28回国際丹南アートフェスティバル2021」(福井新聞社後援)が7月17日、越前市のシピィで開幕した。海外を含む約50人の実力派作家が出展。素材の魅力を引き出す作品約50点を楽しめる。25日まで。
戦後に県内の前衛美術をけん引した故土岡秀太郎の精神を引き継ぎ、1993年に始まった。現代美術作家の八田豊さん(越前市)が総監督を務める。新型コロナウイルス感染症の影響で昨年は中止になり、2年ぶりの開催となった。
鉄のツリーにつぎはぎの布をまとわせた高さ約3メートルの大作は、恩田彰子さん(奈良県)が手掛けた。鮮やかな色使いと独特の世界観が見る人を引きつける。友井隆之さん(大阪府)は全て1キロの重さに統一した約40個の鉄の作品を出展。「重量絵画」と題し、同じ重さでも一つ一つの造形が全く異なる面白さを提示した。
山道千草さん(福井市)は畳1畳の大きさの越前和紙の中央に、越前町宮崎地区の土で作ったブロックを乗せた。一見シンプルな作品だが、素材に注目させるための大きさや配置の工夫が凝らされている。
地元高校生による作品19点も鑑賞できる。越前市武生公会堂記念館では、八田総監督の作品を並べた企画展も開かれている。
シピィでの展示は午前10時~午後6時。入場無料。