福井県あわら市指定無形民俗文化財、金津祭は中日の7月18日、高さ約6メートルの勇壮な人形山車(やま)が2年ぶりに出陣し、太鼓や囃子(はやし)方とともに威勢よく区内を練り歩いた。各区の本陣では、趣向を凝らした「本陣飾り物」が祭りを盛り上げた。
金津神社の例大祭にあたり、金津地区の18区が参加。山車巡行は約120年、本陣飾り物は400年を超える歴史があるという。山車は毎年持ち回りで三つの区が担当するが、昨年は新型コロナウイルスで中止。今年は新区の「柴田勝家」が巡行し、新富と下八日区は飾り山車とした。
山車巡行では、青年団がかじ取り役を務め、青い法被を着た子どもが担ぐみこしや区の太鼓グループ「金山太鼓」が同行。額に汗しながら、すがすがしい表情で伝統に身を投じていた。
本陣飾り物は日用品でつくる習わしで、10区が新調。古区は、東京五輪の開会式会場となる国立競技場をかたどり、プラスチックトレーやCDでスタジアムを、綿棒で選手を表現した。宙を飛ぶ洗濯ばさみのブルーインパルスは飛行機雲で五輪の輪を描き、遊び心がうかがえる飾りに仕上げた。六日区はアルミシートのリュウグウノツカイ、中央区はトランプ3千枚を使った不死鳥が本陣を飾っていた。
金津祭保存会の会長は「伝統は揺るぎなく、市民は祭りを待っている。今回を糧に、来年こそは本来の盛り上がりにしたい」と期待を込めた。