小浜の海の色を表現したガラス作品と竹田さん=7月26日、福井県小浜市田烏の民宿佐助

小浜の海の色を表現したガラス作品と竹田さん=7月26日、福井県小浜市田烏の民宿佐助

福井県 敦賀・若狭 特産

カキ殻、サバ骨を使ったガラスで小浜の海を表現

福井新聞(2021年7月27日)

 福井県小浜市に工房を構えるガラス工芸作家、竹田恵子さんが、小浜の砂、小浜よっぱらいサバの骨、若狭かきの貝殻を主原料にしたガラスの試作品を完成させ7月26日、市内の民宿でお披露目した。小浜の海の色を表現しており、緑がかった深みのあるブルーが特徴。「地元産の素材を主原料にしたストーリー性を感じてほしい」と年内の完成を目指す。

 竹田さんは「OBAMA(オバマ)ガラス」と銘打ちガラス作りに取り組んでいる。工房に近い同市甲ケ崎で、名産品の若狭かきの貝殻の廃棄に苦労していることを知り、小浜産の材料を主原料にしたガラス作りを思いついた。小浜の緑がかった海の色を表現したいと、2019年秋から試作に取り組んできた。

 ガラスの成分の7割を占める砂の材料として市内の北川河口と同市内外海地区の2カ所で砂を採取。さらに主成分の1割を占める石灰の材料に、小浜よっぱらいサバと若狭かきの殻を使うことにした。

 福井市の県工業技術センターに何度も通い焼成実験を繰り返した。昨年7月からは実験炉を購入し本格的に試作に着手。竹田さんは「砂の成分の鉄が強すぎると、茶色くなってしまう」と試行錯誤。100通り以上の配分を試した末に、透き通った青緑のガラスが出来上がった。

 波の揺らぎを表現するため、器の底部にうねりのようなデザインを施し、透過した光も波打つように仕上げた。地元で捕獲されたシカの骨に含まれたリン酸を白い塗料にし、模様を付けたものもある。

 26日にはよっぱらいサバの骨の提供元、同市田烏の民宿でお披露目会があり、小皿、中皿、鉢やぐいのみなど試作品約20点にサバの刺し身やへしこが盛り付けられた。民宿の森下さんは「透き通った器で、サバのイメージががらりと変わり、PRにも役立つ」と喜んでいる。

 竹田さんは、待ちわびた理想の"オバマブルー"と対面したときは、感動で言葉が出なかったという。「まだ焼き上がりは安定しておらず、溶け残りがあったり割れたりしてしまう。研究を重ね精度を高めたい」と来年1月の発売を目指している。

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