県水墨美術館で開催中の「つながる琳派(りんぱ)スピリット 神坂雪佳(かみさかせっか)」展は30日、8月1日の閉幕が迫る中、明治から昭和期に活躍した図案家、神坂雪佳の作品を目に焼き付けようと、多くの美術ファンが訪れた。ユーモラスな視点が光る代表作や華やかな金地の屏風(びょうぶ)に見入り、斬新なデザインで絵画や工芸の世界に新風を吹き込んだ雪佳の魅力を堪能した。
神坂雪佳展は京都市の細見美術館の収蔵品を中心に計79点で構成。雪佳が制作した絵画や工芸品をはじめ、本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)や尾形光琳(こうりん)ら雪佳が影響を受けた琳派の絵師11人の作品も紹介している。
雪佳の代表作「金魚玉図(きんぎょだまず)」を眺めていた氷見市の公務員、高柳京香さん(58)は2回目の来場。真正面を見据える金魚の視線が印象的だったとし「雪佳のデザインは何度見ても新鮮に目に映る」と語った。砺波市の主婦、脊戸ひとみさん(64)は四季の草花を大胆に配した大作「四季草花図屏風」を前に「美しく華やかな世界にうっとりする」と目を細めた。
琳派の作品は江戸時代に花開いた美の系譜を伝えている。射水市の会社員、二口友利さん(64)は「何百年もの間、多くの絵師によって受け継がれてきた美意識を感じた」と話した。
開館時間は午前9時半から午後6時(入室は同5時半まで)。同展は県水墨美術館と富山テレビ放送、北日本新聞社でつくる実行委員会と県主催。