ヘリコプターで中央アルプスから運ばれ、茶臼山動物園の飼育舎に入ったライチョウの母鳥とひな=3日、長野市(環境省提供)

ヘリコプターで中央アルプスから運ばれ、茶臼山動物園の飼育舎に入ったライチョウの母鳥とひな=3日、長野市(環境省提供)

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中アのライチョウ、長野の動物園に移送 繁殖させ野生復帰を計画

信濃毎日新聞(2021年8月4日)

 環境省は3日、中央アルプス駒ケ岳(2956メートル)周辺で保護増殖に取り組む国特別天然記念物ニホンライチョウのうち1家族4羽を、長野市茶臼山動物園に運んだ。繁殖させて中アに戻し、生息数を増やす計画で、生息数を効率的に増やす技術の確立も目指す。この日は別の1家族7羽も栃木県の那須どうぶつ王国に移送した。

 茶臼山動物園に移送されたのは、同省が現地で7月上旬以降、テンやキツネから守るケージ(かご)で保護してきた母鳥1羽とひな3羽。ネットや段ボール箱に入れ、保冷剤で温度調整しながらヘリコプターと車で1時間余りかけて運んだ。園では現地のケージと似た環境を再現した冷房付きの飼育舎に入った。

 同省は両園でライチョウの繁殖を進め、ふ化したひなとその母鳥を中アに戻し、野生復帰させる計画。事業に関わる中村浩志・信州大名誉教授(74)はこの日、茶臼山動物園で開いた記者会見で「暑さが厳しい中、温度管理が課題になる」とし、宮沢育也園長(58)は「成功に向け全力を尽くしたい」とした。

 中アでは2018年夏に約半世紀ぶりに1羽が確認された。同省は昨夏、北ア乗鞍岳から19羽を移し、繁殖に成功。今月2日までの調査で、今回移送した個体を含め64羽の生息を確認した。同省は25年までに生息数を100羽程度に増やす計画で、中村名誉教授は「見通しが立ってきた」と評価した。

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