マヤ文明の地メキシコの湖で見つかり、文明が衰退した要因の手がかりとなる世界初展示の年縞=8月3日、福井県若狭町鳥浜の県年縞博物館

マヤ文明の地メキシコの湖で見つかり、文明が衰退した要因の手がかりとなる世界初展示の年縞=8月3日、福井県若狭町鳥浜の県年縞博物館

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マヤ文明の盛衰、年縞で迫る 福井県若狭町2博物館で企画展

福井新聞(2021年8月4日)

 多くの謎に包まれているマヤ文明の歴史をたどる特別企画展「Varves in Maya(バーブス・イン・マヤ)マヤの年縞(ねんこう)をめぐる冒険2021」が8月4日、福井県若狭町鳥浜の県年縞博物館と隣接する町若狭三方縄文博物館で始まる。3日に報道向け説明会があった。マヤ文明が栄えたメキシコで見つかった年縞を世界で初めて展示し、文明が衰退した原因や当時の気候変動に迫っている。

 2020年3月に本格的な調査が始まったばかりの研究について知ってもらおうと企画。2部構成で、サン・クラウディオ湖で見つかった全長6・5メートルの堆積物やマヤ文明の歴史を示す年表など16点が並ぶ「お宝編」は年縞博物館、同じく世界初公開のグアテマラの年縞や掘削の写真など約260点を展示する「冒険編」は縄文博物館で開く。

 マヤ文明はメキシコなどで紀元前1000年ごろに始まり西暦1697年まで続いたとされる。複数の大都市や小都市が各地で盛衰を繰り返し、正確な暦を作るなど高度な文明を築いた。中でも250~1000年の「古典期」は巨大なピラミッドが乱立し最も文明が発達したが、終末期には多くの都市が放棄され衰退。その原因は気候変動や戦争、環境破壊などと考えられている。

 お宝編では、文明が衰退した当時の年縞を特殊な樹脂で固めて薄くスライスし「ステンドグラス」のように展示。古代マヤ人の土地改変による土壌浸食の痕跡や、それを境に黒から白色に変わる縞(しま)模様を確認できる。色の変化は降水量の変化や人間活動と密接に結びついていると考えられ、今後の分析でマヤ文明を襲った干ばつや大雨の記録を詳細に読み解き、衰退の原因を突き止めるという。

 冒険編ではグアテマラで見つけた過去30年分の年縞を展示。1970年以降、温暖化とともに急激な乾燥化や極端な大雨が増加していることが分かる。

 県年縞博物館の学芸員は「展示デザインにもこだわった。貴重な年縞について、幅広い年代に楽しんでもらえたらうれしい」と話していた。

 企画展は10月4日まで。開館はともに午前9時~午後5時。火曜休館(8月は無休)。両館共通券は一般700円。小中、高校生280円。

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